この度は名古屋大学大学院人文学研究科英語教育学分野での大学院生(前期・後期)としてのポジションに興味をもってくださり、ありがとうございます。
私(三輪晃司)を指導教員として応募を考えている方は以下のアンケートにお答えください。
Research interest questionnaire: https://forms.gle/UpwL9KFxyw56tKJU8
大学院入試に関する情報は以下に掲載されております。
名古屋大学人文学研究科(入試関係): http://www.hum.nagoya-u.ac.jp/examination/examination-sub4/
基本的な姿勢
私個人の考えですが、学び方には複数のスタイルがあり、大学院的な学び方を楽しめる人とそうでない人がいると思います。基本的に、大学院に入ろうかどうかと迷っている方は進学しない方が良いと思います。このような方は、一時的に学校を離れて、自分のやりたいことを考える時間(ギャップ・イヤー)を作ることをお勧めします。また、心理言語学(または言語学、心理学)を他人に教えて欲しいだけの方も大学院に進学しない方が良いと思います。「現在何が分かっているか」というテーマでのシンプルでわかりやすい講義を期待する方は満足いくまで学部教育で講義を楽しむことをお勧めします(実際に私たちが理解できていることは、思っていた以上に多くないということに落胆してしまうでしょうから)。
大学院へ進まれる方は、「知識を授かる」という姿勢ではなく、「知識を生み出す」姿勢が求められることを理解した上で入学してください。「知識を生み出す」ことは「知識を授かる」ことにはない類の楽しさがありますが、比較にならないほどの難しさ(創造力と忍耐力等)と苦しさも伴ってきます。
はじめよりも終わり
終わりを本気で見据えていない方は始めない方がよいかもしれません。大学院は一人前の研究者を育てる場であり、博士号も修士号も、与えられた仕事をこなした人に与えられるものではなく、自分の力で学位にふさわしい研究活動を行った人にだけ与えらえるものだと考えています。そのため、優秀な成績で学部教育を終えても大学院で挫折する人はたくさんいます。特定の研究分野への学習意欲があっても、ただ講義を受けているだけでは学位は取得できません。学習意欲に加えて、特定の研究分野においての背景知識、一つの仕事を長期的に続けることのできる継続力、そして新しいアイデアを自分で生み出すことのできる創造力が大切です。最終的には特定の研究トピックにおいては指導教員の私より知識を有した “専門家” になることを期待しています。学位に努力賞はありません。頑張れば、皆が2年(修士)や3年(博士)で卒業できるわけではありません(卒業できない可能性も多分にあります)。
求めているもの
私が一緒に仕事をしたい大学院生(研究者)は以下の要素の多くを満たす方々です。
- 研究活動の大部分を英語で行うことができる人(目安は TOEIC 900, TOELF iBT 94以上, IELTS 7.0 以上)
- 指導教員と共同研究をする意思のある人
- 締め切りから逆算して計画的に仕事に取り組むことができる人
- 結果が出ないストレスに対処できる人
- 自分が間違っているかもしれない可能性があることを自覚している人
- 誰にも見られていなくても仕事ができる人
- 共同研究者への報告・連絡・相談を行うことができる人
- 注意深く作業をしてミスをしない人
- 相手の年齢や社会的地位によって態度を大きく変えない人
- 他人(の価値観と考え方)に対して敬意をもって接することのできる人
- 他人に対してマウントをとって自分が優位だと示さない人
- すぐにキレたり、感情的な議論をせずに論理的に議論ができる人
- 他人の話をしっかり聞ける人
- 極度に楽観的でも悲観的でもなくバランスのよい人
- 卒業要件を最低限満たすことで満足せず研究活動に関して目標が高い人
- 博士課程への応募者の場合、修士課程で指導教員に十分な指導を受けている人
- 言語学の学習経験がある人(外国語の学習経験がある人という意味ではない)
- 心理学の学習経験のある人
- 統計学の学習経験のある人
- その他関連する認知科学諸分野でのしっかりした学習経験(GPA 3.5 以上)のある人
私個人は大学院進学を希望する方々に求めるものとして、日本語能力より英語能力を重視しています。心理言語学研究では多くの有益な論文を英語で読み、研究成果を英語で発表し、論文も英語で執筆することが重要だと考えています(日本語論文を中心に読み、日本語で論文を書くことは微塵も推奨していませんが、日本での大学生活を充実させるための日本語の学習は大いに推奨します)。私自身が期待する英語力の目安は少なくとも IELTS 7.0、TOEIC 900、TOEFL PBT 600 ですが、このレベルの英語力でも実際には苦労することが多いでしょう。また、言語学(特に心理言語学)・心理学(特に認知心理学)・統計学の知識、および実験の実施経験があれば、大学院研究においてプラスです。大学院に入ってからこれら諸分野の関連トピックを全て一から勉強することは非常に難しいです。言語学以外の分野(特に認知科学の諸分野)からのご応募も歓迎します。また、個人的な希望ですが、学位を取得した後に、就職を考えている方ではなく、アカデミアの道を進んでいく予定のある方(修士号 → 博士号 → 研究員、大学教員)と仕事をしたいです。最後に、大学院生は指導教員である私との共同研究の形をとることを前提として、他人に対して敬意をもって接することのできる(あたりまえの)人間性を備えた方を求めています。
連絡をください!
筆記・面接試験で理解できることには限界がありますので、大学院への正式な申し込みの前に、私に一言ご連絡ください(お気軽にどうぞ)。しかし、「あなたの専門について教えてください。」という類の大きな質問への答えはこのウェブサイトに書かれていますので、ご自身でまず調べてください。言語学、心理言語学、バイリンガリズムという大きな枠組みの中でも、さまざまな制約により研究困難なトピックがあるため、もし私のラボで研究活動をすることをお考えの方は、事前にお話しいただけると、お互いにとってよいスタートがきれると思います。心理言語学研究に関する論文を読んで、実現可能な研究トピックがある程度決まっていると円滑に大学院生活をスタートできますので、ぜひご連絡ください。また、私の過去の論文を読み、現在の研究を少しでも理解した上で申し込まれる方は一緒に共同研究しやすいという実感があります。私の指導できる守備範囲を超えた研究トピックに興味を持たれている方は、ご応募いただいてもお引き受けできません。「日本が好きだから」やら「名古屋大学は日本で有名な大学だから」やら「私が言語学者だから」という程度のざっくりとした理由で申し込まないでください。
最後に、大学院生活が充実するものになるか否かは、指導教員と学生の研究哲学や人生哲学にも大きく影響されてくると思います。私の教育に対する考えと人生に対する考えは「Teaching」と「Mission」のページにそれぞれまとめてありますのでご覧ください。また、現在私が指導している学生さん方にお話を聞いてみると、大学院生の生活がより見えてくるかもしれません。
以上、「頭の中の言語」に対して実験的なアプローチに興味がある有能な学生さんのご応募をお待ちしています。
三輪晃司
Last updated: 03/13/2024
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Additional resources for upcoming/current graduate students
- Covey, S. R. (2004). The 7 habits of highly effective people. New York: Simon and Schuster. (Original work published 1989)
- Covey, S. (2014). The 7 habits of highly effective teens / the ultimate teenage success guide. New York: Simon & Schuster.
- Lodge, D. (2011). Small world. London: Vintage. (Original work published 1984)
- Silvia, P. J. (2007). How to write a lot. Washington, DC: American Psychological Association.